組成手数料(アレンジメント・フィー)
ファンド組成にかかわる手数料です。ファンドの立ち上がり時に支払われます。
物件固定型で設定
固定費的な性格が強いです。資産規模が小さく、組成時に物件がすべて特定されているファンド(物件固定型)に設定されているケースが多いです。ファンドの規模が拡大し運用中に物件を取得していくタイプのファンド(物件取得型)においては、設定されないこともあります。
数百万円程度の定額で設定されている場合と、取得不動産に対する料率(例えば0.5~1.5%)で設定されているケースがあります。
物件取得型の場合
物件取得型のファンドにおいては、「アクイジション・フィー」が実質的に「アレンジメント・フィー」に相当する場合も多いです。
管理手数料(マネジメント・フィー)
ファンドの運用管理に対する手数料です。ファンドの運用がスタートした後、終了するまで定期的に支払われます。
運用の質を維持
アセットマネジメント会社の収入の基幹をなす費用となっています。運用の質を維持するうえで必要な報酬として投資家にも認識されています。
資産残高に対して0.5~1.5%程度
取得した資産の残高やエクイティ出資額に対する料率で支払われるのが一般的です。資産残高に対して0.5~1.5%程度の水準で設定されることが多いと言われています。
物件取得手数料(アクイジション・フィー)
ファンドが不動産を取得する際に支払われる手数料です。物件の探索や調査費用等に充当されます。
取得価格に対する料率で設定
通常、取得価格に対する料率で設定されています。高い価格で物件を買うほど手数料も多くなります。このため、利益相反につながるとの指摘もあります。近年、設定されないファンドも多くなりました。
売却手数料(ディスポジション・フィー)
ファンドが不動産を売却する際に支払われる手数料です。
インセンティブ効果
売却価格に対する料率で設定されます。高く売るほど多くなることから、物件取得手数料とは逆に、インセンティブ効果が見込まれます。
21世紀に減少
ただし、21世紀に入ってからは、売却手数料を設定するファンドが減りました。成功報酬費(インセンティブ・フィー)に集約される傾向が強まったためです。
減少した理由
これは、物件取得から売却までトータルでの運用パフォーマンスに対してインセンティブを設定するという考え方が主流になったことが影響しています。
成功報酬(インセンティブ・フィー)
投資家に優先的に分配するリターン(プリファード・リターン)の水準を決め、それをクリアした場合に支払われる成果報酬です。
より高いリターンの獲得の動機に
インセンティブフィーを設定することによって、より高いリターンの獲得に向けてアセットマネジメント会社のモチベーションが高まります。利益相反を回避する効果も見込めます。2000年代以降、多くのファンドで採用されるようになりました。(有宗良治)
プリファード・リターンを超過した利益
具体的には、まずプリファード・リターンを超過した利益を、一定率までアセットマネジャーに傾斜配分します。
投資家とシェア
さらに、一定率を超えた利益については、投資家とアセットマネジャーが一定の割合でシェアするといった設定が多いです。
双方にメリット
インセンティブ・フィーは、投資家とアセットマネジャーの双方にメリットがあります。プリファードリターンの水準や超過利益の分配比率の妥当性については、ファンドのリスク・リターン特性を踏まえて十分に検証する必要があると言われています。